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就職活動をしているうちに「会社」や「株」にどんどん興味がわいてきたアツシ君。証券会社で働く姉のヨウコさんに色々と教えてもらうことにしました。

地中海貿易の航海への出資が会社のはじまり

 会社の発祥の地は、地中海貿易で栄えたイタリアの港町ベネチア、ジェノバだといわれています。中世の時代、たとえばイタリアからエジプトへの航海を船長が企画したら、まず商人たちから出資金を集めました。その出資金で船主から船を借り、給料を前払いして乗組員を集め、船長は航海に出発したのです。

 実際は、荷主が運賃や立て替えの商品代金に出資金の分を少し上乗せして払っていたケースがほとんどだったといわれています。


航海で得た利益を出資者の間で山分けする

 さて、エジプトへの航海に出発した船は、無事にイタリアの港に帰ってきました。船長は乗組員に別れを告げ、荷主に売上げ代金や買い付けた商品を引き渡し、船主に船を返します。船長のふところにはお金が残ります。そこから出資金を引いた残りがこの航海の利益です。

 船長はまず利益の中から自分の取り分を分け、残りを出資金の額に応じて出資者に割り当てます。出資者に出資金と利益を支払ったら、一回の航海が清算・終了します。


最初の近代的な会社、オランダ東インド会社

 出資者を募って航海するイタリアの貿易・海運のしくみを発展させたのがオランダでした。1602年、近代の会社組織の始まりといわれる東インド会社が設立されました。

 この会社は船を所有し、船長や社員を雇って、全世界に向けて繰り返し航海しました。荷主や出資者から受け取ったお金の管理や現地での貿易は社員が行うので、船長は航海に専念します。東インド会社は鉱山の開発や農園の経営にも進出し、現在も存続しています。


出資者に株券を発行して株主として登録する

 オランダの東インド会社は、集団で会社の代表者になる「取締役」の制度、商品代金、運賃、給料、出資金などをそれぞれ別々の帳簿で集計して管理する「簿記会計」の制度、出資金の額を株数に換算した株券を印刷して出資者に渡し、「株主」として登録する「株式会社」の制度を、世界で初めて採用しました。

 顧客は次第に、どんぶり勘定の個人よりもお金の管理がしっかりした会社のほうを、取引の相手に選ぶようになっていきます。


株券の自由な売買から株式市場が生まれた

 東インド会社に始まる株式会社は、会社を所有している証明書である株券を持つ人=株主と、取締役など会社を実際に経営している人が分離しています。株主は経営のプロである必要はありませんし、取締役は1株も所有していなくてもなれます。また、株券は代金と引き替えに、他人に自由に譲ることができます。

 時代が下ると、欧米では商人の間で株式がモノと同じように売り買いされるようになり、「株式市場」が形作られました。


〈次回予告〉
日本での株取引のはじまりについて…更にアツシ君のヨウコさんへの質問は続きます。

寺尾 淳(てらお じゅん)
同志社大学法学部卒。経済関係出版社勤務等を経て86年からフリーランス。86〜92年「週刊現代」「NEXT」で主に経済記事を執筆。92年以降「Forbes日本版」を中心にビジネス雑誌の仕事を続ける一方、単行本も10冊以上出版している。更に詳しく
イラスト/ヨツモト ユキ
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