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マンガ株式入門

今回は、21世紀になって大変貌をとげた日本の株式市場のお話です。

「失われた10年」

 日本経済は80年代になっても高度成長時代以来の高金利水準が続きましたが、「バブル経済」の崩壊でとどめを刺されます。
地価の暴騰を政府・日銀は高金利誘導の力業で抑え込みますが、薬が効きすぎて90年代には深刻なデフレ不況に陥り株価が低迷します。

金利引き下げと景気刺激策を何度やっても好転せず、後に「失われた10年」と呼ばれます。かつて3〜6%あった定期預金利率は100分の数%程度の超低水準になりました。


平成の大不況。揺らぐ銀行神話

 90年代から10年以上続いたデフレ・超低金利時代が、日本人のお金に対する見方を根元からひっくり返した、と言っても決してオーバーではありません。
その間に利子非課税のマル優制度は段階的に廃止され、銀行預金の元本保証には1000万円の上限が設けられました。

不良債権の重荷に苦しむ銀行業界では破たんが相次ぎ、再編の嵐が吹き荒れました。もはや「預金は堅実」と言えなくなり、別の手段も考えねばならなくなりました。


「貯蓄から投資へ」

 そんな時、政府は「貯蓄から投資へ」というスローガンを打ち出します。銀行預金や「タンス預金」に入っているお金が株式市場に向かえば、低迷している株価が上向いて景気が刺激され、デフレ不況から脱出できる、というわけです。

その具体策として政府は99年の株式売買手数料の自由化を皮切りに規制まみれだった証券取引制度を次々と改正し、個人が株を始めやすくしました。株で得た利益への税率も一律10%まで引き下げました。


自由化で増えていった個人投資家

 そうした株式投資優遇策が効果をあげ、21世紀に入ると日本の株式市場で取引する個人投資家の数は大幅に増えました。インターネットを駆使して頻繁に取引を繰り返す「デイトレーダー」も出現しています。

また、有利な金融商品として「投資信託」も脚光を浴びていて、ヒット商品も生まれています。株を直接売買していなくても、株式投資信託にお金を預けることで間接的に株式投資に参加する人は、今や膨大な数にのぼっています。


グローバルスタンダードに追いついた日本の株式市場

 世紀の変わり目に日本の株式市場が大変身を遂げたのは、投資家サイドだけではありません。
東証「マザーズ」のような新興企業向け新市場が次々にでき、会社設立から株式上場までのハードルは低くなりました。

市場の規制緩和が進み、企業が資金を調達しやすくなった一方で、誰かに株を買い集められて、買収されてしまう恐れも出てきました。それは、日本の株式市場がようやく、アメリカのそれに追いついたことを意味しています。


〈次回予告〉
今回でマンガ株式入門「歴史編」は終了です。次回からは「知識編」がスタートします。

(2006.9.7)

寺尾 淳(てらお じゅん)
同志社大学法学部卒。経済関係出版社勤務等を経て86年からフリーランス。86〜92年「週刊現代」「NEXT」で主に経済記事を執筆。92年以降「Forbes日本版」を中心にビジネス雑誌の仕事を続ける一方、単行本も10冊以上出版している。更に詳しく
イラスト/ヨツモト ユキ
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