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マンガ株式入門

「歴史編」も終わり、今回からは「知識編」の始まりです。

「あるとき払いの催促なし」で商売を始める方法

 八百屋でも花屋でも、商売を始めるには元手が必要です。そのお金で店舗を借り、陳列棚を買って、野菜や花を仕入れて並べます。当面の電気代や水道代も必要でしょう。その元手はどうしましたか? 店主がコツコツ貯金したお金ですか? 金融機関から借りたお金ですか? それとも、応援してくれる友だちから「あるとき払いの催促なし」で借りたお金ですか? 実は、その最後のケースが、「株」の成り立ちと大きく関係しています。


借入金と資本金の違い

 おそらく店主は、金融機関から借りたお金は利息をつけてきちんと返済しないといけないと思っていても、「あるとき払いの催促なし」の借金は、借金とは思っていないでしょう。実は、商法という法律では、金融機関からの借金は「借入金」で、「あるとき払いの催促なし」の借金は「資本金」と、はっきり区別しています。もし、店主がその店を「会社」にしたいのなら、会計帳簿で借入金と資本金をはっきり区別しなければなりません。


株式会社と株主の関係

 資本金には、友だちから「あるとき払いの催促なし」で借りたお金も、店主がコツコツ貯金してきたお金も含まれます。商法は、そのルールを決めています。資本金は借入金と違って返済しなくてもかまいませんが、お金を出した人に株券を渡し、その名前を登録しなければなりません。こうして株券を発行している会社を「株式会社」と呼びます。株券には出した資本金の額に比例した株数が書いてあり、それを持つ人を株主と呼びます。


株券は株主の権利証

 お店が「株式会社」になったら、開店時に「あるとき払いの催促なし」のお金を貸した店主の友だちも、コツコツ貯めた貯金を商売に注ぎ込んだ店主も、ともに株券を持つ株主になります。しかし、借入金を貸し付けた金融機関は株主にはなりません。株券は人に譲ることができます。譲られた人はその名前を登録することで新しい株主になり、次回で説明する株主の権利をそのまま引き継ぐことができます。株券は株主の権利証なのです。


「配当金」は支払わなくても良い?

 お店の商売が成功し、会社が決算で利益を出したら、税金を支払った上で利益の一部を使って、店主を含めた株主全員に「配当金」というお金をプレゼントすることがあります。配当金はそれぞれの株主が持つ株数に比例して支払われますが、株式会社の義務ではなく、決算が黒字でも株主の過半数が賛成すれば配当金を支払わずにすますことができます。決算が赤字でも必ず支払わねばならない借入金の利息とは、この点が違います。


〈次回予告〉
次回は株主のメリットとはどんなものかお話します。

(2006.10.12)

寺尾 淳(てらお じゅん)
同志社大学法学部卒。経済関係出版社勤務等を経て86年からフリーランス。86〜92年「週刊現代」「NEXT」で主に経済記事を執筆。92年以降「Forbes日本版」を中心にビジネス雑誌の仕事を続ける一方、単行本も10冊以上出版している。更に詳しく
イラスト/ヨツモト ユキ
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