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マンガ株式入門

今回はちょっと気になるあのニュースを元に株式豆知識を解説します。

買収された株の運命はさまざま

 先ごろ、ブルドッグソースをスティール・パートナーズという会社が買収しようとしてうまくいきませんでしたが、今回は「番外編」として、もし、会社が買収されそうになったら株はどうなるかについてお話しします。結論を先に言えば、持ち株の運命はさまざまに分かれます。倒産ではないので紙くず同然になることはありませんが、価値を大きく減らしてしまうことはあります。逆に、高値で売れてハッピー!というケースもありえます。

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過半数の株式取得で会社が自由に?

 株式会社を買収したければ、お金を出して株主から株を買い取ります。全部でなくても半分を超えればOKです。発行済株式数の過半数の株を持つと、株主総会を自分の思い通りに動かして、その会社を支配できます。自分が社長になる提案でも、他の会社と合併させる提案でも、思いのままです。大量の株の買い取りは、証券取引所を通じたふつうの株取引では難しいので、大株主から直接譲ってもらうか「TOB」という方法を使います。

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TOBにどう対応するべきか?

 TOBで一般の株主に示される買い取り価格は、その時点の市場の株価よりも高いのがふつうですから「おいしい売り先」です。買収騒ぎで今後、何があるかわかりませんから、TOBに素直に応じて売ってしまうのも賢明なやり方でしょう。ただ、最近の傾向として、市場の株価が買い取り価格にすぐ追いついて、買い取り価格が変更されたり、TOB自体が中止されるケースも出ていて、売るタイミングの見極めが難しくなっています。

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「友好的」な買収と「敵対的」な買収

 会社の買収には、双方合意の上で行う「友好的」な買収と、相手がいやがるのに強引に行う「敵対的」な買収があります。敵対的買収をかけられた相手は会社を乗っ取られまいと抵抗し、買収を不成功に終わらせるためにさまざまな作戦を講じます。それが「買収防衛策」です。注意してほしいのは、買収防衛策の中には株価を大きく下げる副作用を持つものもあることで、それが発動される前に売ってしまわないと思わぬ大ケガをします。

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スティール・パートナーズによる明星食品へのTOBでは日清食品が「ホワイトナイト」の役割を演じた。株価が安定し、長期的には株主に有利になるので、一般株主は友好的買収者に売る場合が多い。

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敵対的買収者以外の株主に、市場価格よりも安く新株を買える権利を与える。 買収されそうになったら新株を発行して敵対的買収者の持株比率を下げるという方法。
アメリカでは最もポピュラーな買収防衛策でスティール・パートナーズによるTOBに 対抗してブルドックソースがとったのもこれ。 ※株の需要と供給のバランスを崩すので、株価を下げる要因になる。


投資ファンドをどう評価するかがポイント?

 ブルドッグソースを買収しようとしたスティール・パートナーズは「投資ファンド」といい、言ってみれば会社の「卸問屋」です。買収で会社という「商品」を安く仕入れて、経営にテコ入れして「商品価値」を高め、後で高く売ることで利益を得るビジネスです。会社の商品価値が高まれば株価が上がり他の株主は得をしますが、もし失敗したら道連れです。投資ファンドの正体や実力に不安を感じたら見切りをつける判断も必要でしょう。

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(2007.09.13)

寺尾 淳(てらお じゅん)
同志社大学法学部卒。経済関係出版社勤務等を経て86年からフリーランス。86〜92年「週刊現代」「NEXT」で主に経済記事を執筆。92年以降「Forbes日本版」を中心にビジネス雑誌の仕事を続ける一方、単行本も10冊以上出版している。更に詳しく
イラスト/ヨツモト ユキ
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