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■転職の現状と損得

終身雇用制度が崩壊して雇用の流動化が進んでいます。そのため、転職がしやすくなったことは事実ですが、現実には転職によるメリットを享受するのは厳しいといえます。最近の転職の現状を見てみましょう。厚生労働省の「2007年転職者実態調査結果の概況」や「2005年上半期雇用動向調査結果の概要」などから、転職者や転職を受け入れる企業側の実態をまとめてみました。

1.離職の理由

一般正社員の転職者が前の会社を離職した理由をみると、男性は「会社の将来に不安を感じたから」(36.8%)、女性は「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」(28.7%)が最も多くなっています。
このことから、自己のステップアップを目指すものではなく、現状に不満を抱いて転職するケースが多いことがわかります。

2.転職者の割合が多い業種・職種

正社員に占める転職者の割合が多い企業を業種別で見ると、「不動産業」(11.7%)、「医療・福祉」(9.4%)が上位となっています。同じく職種別では、男性は医師、薬剤師、看護師、弁護士、税理士といった「専門的・技術的な仕事」(28.3%)、自動車整備士、パン・菓子製造工の「生産工程・労務の仕事」(24.9%)、「運輸・通信の仕事」(14.5%)の順です。
女性は「専門的・技術的な仕事」(44.0%)」、「事務の仕事」(22.7%)、「生産工程・労務の仕事」(12.3%)の順となっています。
正社員に占める転職者の割合が多いということは、それだけ、積極的な「中途採用」をしているということです。

3.転職者の年齢

年齢別に正社員の転職者割合を見てみると、25〜29歳(21.3%)、30〜34歳(17.9%)と比較的若い年齢層で高くなっています。つまり、企業が正社員で中途採用を行う場合には、34歳以前の年齢層の需要が大きいことが読み取れます。また、規模の大きい「大手企業」ほど、25〜34歳の年齢層の転職者割合が高くなっています。

4.採用された人たちの評価

企業による採用の決め手となったのは、複数回答で「経験を活かし即戦力になるから」「専門的知識・能力があるから」などが目立つところです。直接、「資格・免許」の有無に触れた回答はありませんでしたが、先の「転職者の割合」結果と併せて考えると、多くの場面で、「資格・免許」が、経験・専門的知識・能力の裏づけとなる可能性は高いでしょう。

5.転職者の給料と処遇

給料の他、役職なども含めた「処遇」を決定するにあたり、考慮した項目としては、「これまでの経験」(73.2%)がもっとも重要となっています。次いで「年齢」(55.2%)、「免許・資格」(34.4%)となっています。また、規模の大きい企業ほど、「年齢」「学歴」を考慮する傾向もあります。

6.転職後の給料水準

「増加した」(38.9%)、「減少した」(37.0%)、変わらない(23.7%)と微妙な数値となっています。しかし、年齢別ではもう少し顕著なデータが出ており、若年者層ほど転職後の給料は「上がり」、40歳以上では「下がる」となっています。また、規模別では、やはり大規模企業への転職の方が給料アップに結びつきやすいという結果も出ています。

7.転職による通算の退職金

企業規模1000人以上の製造業の調査ですが、退職せずに同じ会社に定年まで勤めた場合の退職金2026万円に対し、転職時期が30歳の場合、通算で1580万円、40歳では1013万円50歳では1215万円といずれも大幅に減少しています。特に45歳時の転職では、993万円と半分以下になっていることを見ると、35歳から45歳での転職は通算すると不利です。したがって、たとえば40歳で転職した場合には、転職後の給料が年収で60万円以上アップしないと通算の退職金が減る分を取り戻せないことになります。

そうして考えると、一般に、転職後の収入が100万円以上のアップを目指す必要がありそうです。であれば、転職は、現状の雇用環境から逃れるのではなく、スキルや資格を身に付けてステップアップすることが求められます。

転職で通算の退職金は減少